20代の貯金はいくら必要?同じ30万円でも、実家暮らしと一人暮らしで違う
情報確認日:2026年10月21日
給料日に少しずつ残して、貯金が30万円になった。うれしい半面、SNSで「20代で100万円貯めた」という投稿を見ると、急に少なく感じる。旅行を予約していいのか、もっと貯めるべきなのか。残高だけ見ていると、なかなか決められません。
まず備えたいのは、収入が減ったときも生活を続けるためのお金です。月6万円で暮らせる人なら30万円は5か月分。月18万円必要な人なら、2か月分に届きません。
20代だから一律に100万円、という決め方ではなく、自分が毎月負担している生活費に合わせて考える。その違いを、実家暮らしと一人暮らしの例で見ていきます。
同じ貯金30万円。実家なら5か月、一人暮らしなら約1.7か月の例
次の2人は、どちらもすぐ使える預金が30万円あるとします。
Aさんは実家暮らしで、家に入れるお金が月3万円。それとは別に、通信費、交通費、日用品などに月3万円を使っています。Bさんは一人暮らしで、家賃・共益費が月7万円、食費や光熱費などが月11万円です。
比較する内容 | Aさん:実家暮らし | Bさん:一人暮らし |
|---|---|---|
毎月必要な生活費 | 6万円 | 18万円 |
貯金30万円でまかなえる期間 | 5か月 | 約1.7か月 |
3か月分の生活費 | 18万円 | 54万円 |
6か月分の生活費 | 36万円 | 108万円 |
※暮らし診断が設定した架空の家計です。統計平均や推奨生活費ではありません。生活費は税金・社会保険料など本人が支払うものも含めて一定とし、給与や給付などの入金、臨時の出費はない条件で計算しています。
「収入がない3か月間に備えたい」なら、Aさんは18万円、Bさんは54万円がこの例の目標です。Bさんの30万円は、3か月分に24万円足りません。
ここでAさんまで、Bさんと同じ54万円を一律の第一目標にする必要はありません。反対に、Bさんが「友人も30万円くらいだから大丈夫」と判断するのも早計です。友人と暮らしにかかるお金が同じとは限らないからです。
3か月・6か月は備えの大きさを比べるための期間で、全員に共通する正解ではありません。次の収入まで長くかかりそうな人や、家族の生活費も負担している人は、長い期間の備えを考えます。実家暮らしでも、住宅費や家族の支出を多く担っていれば、Aさんの例には当てはまりません。
20代の平均は255万円。でも、それが必要貯金額ではない
「同年代はいくら持っているのか」も、気になるところです。
J-FLECの2025年「家計の金融行動に関する世論調査」では、20歳代・単身世帯の金融資産保有額は、平均255万円、中央値37万円です。金融資産を保有していない世帯を含む集計で、対象は548世帯です。
平均と中央値に開きがあるのは、大きな資産を持つ人が平均を押し上げるためです。ただし、中央値37万円も「ここまで貯めれば安心」という金額ではありません。調査に答えた世帯の真ん中の値にすぎず、その人たちの家賃や、今後必要になる支出までそろっているわけではありません。
さらに、この調査の「金融資産」は銀行残高と同じではありません。預貯金だけでなく、株式や投資信託、積立型の保険なども含みます。一方、日々の支払いや引き落としに備えている預貯金は含めません。
つまり、平均255万円という数字を見て「みんな銀行に255万円ある」と受け取るのは違います。20代前半だけの統計でもなく、親と同居している本人の貯金額を示す数字でもありません。
平均や中央値は、周囲の状況を知る参考にはなります。けれど、旅行に使ってよいか、仕事を辞める前にいくら必要かを決めるときは、最初の生活費の比較の方が役に立ちます。
残高50万円でも、50万円すべてを備えには数えない
銀行に50万円あっても、来月のカード引き落としが10万円、近く買う家具・家電の予算が15万円あるなら、生活の備えとして残るのは25万円です。
50万円の使い道を分けた例 | 金額 |
|---|---|
確定しているカードの支払い | 10万円 |
予定している家具・家電の購入 | 15万円 |
それ以外に残るお金 | 25万円 |
※上の30万円の比較とは別の例です。支払いと購入に重複はないものとします。
この例で「50万円あるから、さらに20万円を旅行に使おう」と決めると、予定どおり支払った後は5万円しか残りません。
引越し、免許取得、結婚式への出席など、近く使う予定があるお金は、生活を守る備えとは別枠で考えます。目的のために貯めたお金を使うことと、緊急時の備えを取り崩すことは、分けて判断できます。
貯金とNISAは、役割を分ける
NISAを始めれば、貯金の代わりになるのでしょうか。
急な家賃や生活費を払うためのお金は、値動きのある投資商品とは分けて、引き出しやすい預金で残すのが基本です。
NISAは非課税制度であり、元本が保証される預金ではありません。投資信託などを保有している場合、必要になったときに値下がりしている可能性があり、売却してからお金を使えるようになるまで時間がかかることもあります。
金融庁も、資産形成の基本で、目的に合わせて金融商品を使い分けることや、投資には元本割れのおそれがあることを説明しています。
「預金が100万円になるまで、誰も投資をしてはいけない」という話ではありません。先ほどのAさんとBさんでも、必要な現金は違います。投資を考えるときは、近く使うお金と生活の備えを取り分けたうえで、当面使わないお金をどれだけ回せるかを考えます。
まず一つ、「当面使わずに残す金額」を決める
最初の例で、収入のない3か月間に備えるなら、Aさんは18万円、Bさんは54万円。6か月間なら、それぞれ36万円、108万円でした。
こうして目標を置けば、「なんとなく100万円貯めなければ」という状態から、何のために、あといくら必要なのかが分かるようになります。
すぐに目標額を用意できなくても、まず1か月分、その次にもう1か月分と、段階を分けて貯められます。旅行や趣味を続けるかどうかも、備えと近くの支払いを分けたうえで決められます。
毎月いくら積み上げられそうかを見たい人は、暮らし診断の生活費比較シミュレーターも使えます。手取りと支出から毎月残せる金額を確認できますが、必要貯金額や、失業時の給付を含めた生活保障を判定するものではありません。
今日決めるのは、貯金全体の大きな目標ではなく、「当面使わずに残しておく金額」を一つ。友人の残高や平均額ではなく、自分の生活が続けられるかを基準に選んでください。
主な出典
- J-FLEC:家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯・各種分類別データ、表4「金融資産保有額〈金融資産を保有していない世帯を含む〉」/調査結果の概要にある金融資産の定義)
- 金融庁:資産形成の基本