試用期間中は給料が下がる?新卒が入社前に確認したい条件と注意点
求人票や労働条件通知書に書かれている「試用期間3か月」。
初めて就職する人にとっては、「給料が下がるのでは」「簡単に解雇されるのでは」と不安になりやすい項目です。
試用期間中も、会社と労働者の間には労働契約が成立しています。会社が自由に条件を変えたり、理由なく本採用を拒否したりできる期間ではありません。
入社前に確認しておきたい条件を整理します。
試用期間とは?
試用期間は、会社が採用した人の能力や適性などを確認するために設ける期間です。
名称は会社によって異なり、次のように書かれていることもあります。
- 試用期間
- 見習期間
- 研修期間
- 仮採用期間
名称だけでなく、その期間の目的と適用される条件を確認することが大切です。
試用期間中は給料が下がる?
試用期間中の給与が、本採用後より低く設定されている会社もあります。
ただし、求人票では本採用後の月給しか目立たず、詳しく見ると小さく「試用期間中は月給22万円」と書かれていることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
本採用後:月給25万円
試用期間中:月給22万円
試用期間:3か月
この場合は、月給の差だけでなく、基本給、手当、固定残業代の内訳も確認します。
試用期間中だけ条件が異なる場合は、入社前に具体的な内容を確認できる状態にしておきましょう。
最低賃金より低くてもよい?
試用期間中も、原則として最低賃金が適用されます。
試用期間中の人について最低賃金を減額するには、会社が都道府県労働局長から個別に特例許可を受ける必要があります。
単に「試用期間だから」という理由だけで、会社が自由に最低賃金を下回る給与を設定できるわけではありません。
試用期間だから社会保険に入れない?
試用期間であることだけを理由に、健康保険や厚生年金への加入を本採用後まで遅らせるものではありません。
日本年金機構は、適用事業所で働いて報酬を受け、加入要件を満たしている場合、試用期間中でも使用関係が認められると案内しています。
会社の規模、勤務時間、雇用形態などで加入条件は異なりますが、「試用期間中は一律に社会保険へ加入できない」という説明を受けた場合は、自分の加入予定日を確認しましょう。
試用期間なら簡単に解雇される?
試用期間中や試用期間終了時でも、会社が無条件で解雇や本採用拒否をできるわけではありません。
厚生労働省が紹介する裁判例では、試用期間の目的に照らして、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限り、本採用拒否などが認められるという考え方が示されています。
なお、採用後14日以内かどうかで解雇予告に関する扱いが異なる場合がありますが、14日以内なら理由なく自由に解雇できるという意味ではありません。
入社前に確認したい5項目
1.試用期間の長さ
まず、開始日と終了日を確認します。
「原則3か月」「状況により延長する場合がある」と書かれている場合は、延長の可能性と判断基準も確認しましょう。
確認例:
試用期間の終了日と、延長される可能性がある場合の判断基準を教えてください。
2.試用期間中の給与
本採用後と給与が異なるか確認します。
月給の総額だけでなく、次の内訳も見ます。
- 基本給
- 固定残業代
- 通勤手当
- 住宅手当
- 資格手当
- その他の手当
本採用後に増える金額が、基本給なのか手当なのかによっても給与の見え方が変わります。
確認例:
試用期間中と本採用後について、基本給、固定残業代、各手当の内訳を教えてください。
3.仕事内容・勤務時間・勤務地
試用期間中だけ、仕事内容や勤務場所が異なる場合があります。
研修として別の店舗や事業所へ通う可能性があるなら、期間、勤務地、交通費、勤務時間を確認しましょう。
確認例:
試用期間中に、仕事内容、勤務地、勤務時間が本採用後と異なる点はありますか。
4.社会保険の加入予定日
健康保険、厚生年金、雇用保険などについて、加入予定日を確認します。
「本採用後に加入」と説明された場合は、試用期間中の雇用形態や勤務条件がどのように設定されているのか、書面で確認しましょう。
確認例:
健康保険、厚生年金、雇用保険の資格取得予定日を教えてください。
5.本採用の判断基準
試用期間終了後、どのような手続きで本採用になるのかを確認します。
- 自動的に本採用へ移るのか
- 面談や評価があるのか
- どのような基準で判断されるのか
- 本採用時に新しい書類を交わすのか
「勤務態度に問題がないこと」などの表現だけでは判断基準が分かりにくい場合があります。遅刻や欠勤、業務習得、資格取得など、会社が重視する項目を聞いておくと安心です。
求人票に試用期間中の条件が書かれていなかったら?
求人票では本採用後の条件だけが表示され、労働条件通知書で初めて試用期間中の給与を知ることがあります。
条件が異なっていた場合は、そのまま署名や同意を急ぐ必要はありません。
次の内容を確認しましょう。
- 自分に適用される給与
- 試用期間の長さ
- 本採用後に変わる条件
- 求人票と異なる理由
- 回答を書面やメールでもらえるか
会社への確認文例
お世話になっております。
入社後の認識違いを防ぐため、試用期間中の労働条件について確認させてください。
・試用期間の開始日と終了日
・試用期間中と本採用後の給与内訳
・仕事内容、勤務地、勤務時間の違い
・社会保険の資格取得予定日
・本採用の判断方法と、試用期間が延長される場合の基準
お手数ですが、書面またはメールでご回答いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
労働条件通知書を見ながら確認できます
「労働条件通知書チェック」では、試用期間だけでなく、基本給、固定残業代、勤務時間、休日、社会保険などを順番に確認できます。
書類のアップロードは不要です。回答内容も保存・送信されません。
分からなかった項目だけを整理し、会社へ送る確認文も作成できます。
給与の内訳が分かったら、「初任給・手取り診断」で社会保険料と税金を引いた手取り額の目安も確認できます。
まとめ
試用期間中も労働者であることに変わりはありません。
入社前には、最低限次の5項目を確認しましょう。
- 試用期間の長さ
- 試用期間中の給与
- 仕事内容・勤務地・勤務時間
- 社会保険の加入予定日
- 本採用の判断基準
「試用期間だから仕方がない」と考えず、条件が違う場合は具体的な内容を確認することが大切です。
※この記事は一般的な制度を分かりやすく整理したもので、個別の労働契約や解雇の有効性を判断するものではありません。不安が残る場合は、都道府県労働局、労働基準監督署、総合労働相談コーナーなどへご相談ください。