求人票と労働条件通知書が違うときはどうする?入社前の確認方法
内定後に届いた労働条件通知書を見ると、求人票に書かれていた内容と違う。
月給が低い、勤務地が増えている、正社員ではなく有期契約になっている。このような違いを見つけると、「どちらが正しいのだろう」と不安になります。
求人票と労働条件通知書に違いがあったときは、そのまま署名や同意を急がず、変更された項目と理由を確認することが大切です。
求人票と労働条件通知書は同じものではない
求人票や求人広告は、会社が求職者を募集する際に示す条件です。
労働条件通知書は、採用される本人へ適用される賃金、労働時間、勤務地などを明示する書類です。
そのため、2つの書類は役割が異なります。
ただし、「求人票は契約書ではないから、会社が自由に条件を変えてよい」という意味ではありません。
厚生労働省は、求人票の内容がそのまま労働契約の内容になるとは限らない一方、採用時に双方が別の条件へ変更すると合意したなどの事情がなければ、求人時の条件が労働契約の内容になると考えられる場合があると説明しています。
条件が変わることはある?
採用活動中に、会社と応募者が話し合った結果、当初の求人票とは違う条件で合意することはあります。
たとえば、次のような場合です。
- 希望勤務地を変更した
- 経験や資格に応じて給与額を調整した
- 本人の希望で勤務時間を短くした
- 違う職種での採用を双方が了承した
大切なのは、条件が変わったことを入社前に知らされ、内容を理解したうえで合意していることです。
説明を受けていない条件が、労働条件通知書で突然変わっていた場合は、理由を確認しましょう。
最初に比較したい7項目
1.雇用形態と契約期間
求人票では「正社員」「期間の定めなし」だったのに、労働条件通知書では「契約社員」「契約期間1年」となっていないか確認します。
有期契約の場合は、次の項目も確認してください。
- 契約期間
- 更新の有無
- 更新の判断基準
- 更新回数や通算期間の上限
- 正社員登用の有無
「将来正社員にする予定」と口頭で説明されても、自動的に正社員になれるとは限りません。条件と手続きを書面で確認しましょう。
2.基本給と月給の内訳
求人票の月給と、労働条件通知書の基本給をそのまま比較すると、金額が違って見えることがあります。
月給には、基本給以外の手当や固定残業代が含まれている場合があるためです。
次の内訳を比較します。
- 基本給
- 固定残業代
- 通勤手当
- 住宅手当
- 資格手当
- その他の手当
求人票が「月給25万円」、労働条件通知書が「基本給21万円、固定残業代4万円」となっている場合、総額は同じでも内訳が異なります。
3.固定残業代
求人票には固定残業代の記載がなかったのに、労働条件通知書で初めて固定残業代が含まれていることが分かる場合があります。
次の内容を確認してください。
- 固定残業代の金額
- 何時間分か
- 固定残業代を除いた基本給
- 超過分が追加支給されるか
「月給の総額が同じだから問題ない」と判断せず、給与の内訳を確認しましょう。
4.試用期間中の給与
求人票では月給25万円でも、試用期間中だけ22万円になる場合があります。
試用期間中の給与が異なるなら、次の内容を確認します。
- 試用期間の長さ
- 基本給
- 固定残業代
- 支給されない手当
- 本採用後に変わる条件
求人票の目立たない場所に書かれている場合もあるため、もう一度確認しましょう。
5.仕事内容
求人票の職種と、労働条件通知書の仕事内容が一致しているか確認します。
「営業職」で応募したのに、「営業および会社の定める業務」と広く書かれている場合は、想定される職種変更の範囲を聞いても構いません。
2024年4月からは、雇い入れ直後の仕事内容だけでなく、将来変更される可能性がある範囲の明示も必要になっています。
6.勤務地と転勤範囲
求人票では「転勤なし」だったのに、労働条件通知書では「会社の定める事業所」と書かれていないか確認します。
次の内容を聞いておくと安心です。
- 入社直後の勤務地
- 転勤の有無
- 転勤する可能性がある地域
- 在宅勤務の扱い
- 研修期間中の勤務地
「全国の事業所」と書かれていても、実際の運用が限定されている場合があります。具体例を聞きましょう。
7.勤務時間・休日
次の項目を比較します。
- 始業時刻と終業時刻
- 休憩時間
- 時間外労働の有無
- 休日
- 年間休日数
- シフト制や変形労働時間制の適用
特に「週休2日制」と「完全週休2日制」は意味が異なる場合があります。曜日や休日の決まり方まで確認してください。
違いを見つけたときの確認手順
1.違う項目を書き出す
求人票と労働条件通知書を並べ、違う項目だけを整理します。
「全体的に違う」と伝えるより、給与、勤務地、雇用形態など、項目ごとに確認したほうが回答を得やすくなります。
2.変更理由を聞く
事務上の記載ミスや、説明済みの条件が書面へ正しく反映されていない可能性もあります。
まずは、どちらが自分に適用される条件なのか確認しましょう。
3.最終条件を修正した書面でもらう
口頭で「求人票の条件が正しい」と説明されても、労働条件通知書が修正されないままでは、あとから確認しにくくなります。
自分に適用される最終条件を、書面やメールで受け取りましょう。
4.納得するまで署名や同意を急がない
内容を理解できていない状態で、その場ですぐ署名する必要はありません。
確認する時間が必要な場合は、「一度持ち帰って確認したい」と伝えましょう。
会社への確認文例
お世話になっております。
求人票と労働条件通知書を確認したところ、以下の項目に違いがあるように見受けられました。
・求人票:期間の定めなし
労働条件通知書:契約期間1年
・求人票:月給25万円
労働条件通知書:基本給21万円、固定残業代3万円、手当1万円
入社後の認識違いを防ぐため、変更理由と、私に適用される最終的な条件をご確認させてください。
可能でしたら、確定した条件を書面またはメールでご共有いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
入社後に違いが分かったら?
実際に働き始めてから、労働条件通知書に書かれた給与、勤務時間、仕事内容などと違うことが分かった場合は、次の資料を保存します。
- 求人票や募集ページの画像
- 労働条件通知書
- 雇用契約書
- 会社から届いたメール
- 給与明細
- 勤務時間が分かる記録
まず会社へ書面で確認し、解決しない場合は公的な相談窓口を利用します。
ハローワークの求人内容と違う場合は、最寄りのハローワークまたはハローワーク求人ホットラインへ申し出ることができます。
労働契約や実際の勤務条件に関する相談は、都道府県労働局、労働基準監督署、総合労働相談コーナーなどで受け付けています。
書類を見ながら違いを整理できます
「労働条件通知書チェック」では、雇用期間、仕事内容、勤務地、勤務時間、基本給、固定残業代、試用期間などを順番に確認できます。
書類のアップロードは不要です。回答内容も保存・送信されません。
分からなかった項目だけを整理し、会社へ送る確認文も作成できます。
給与の内訳が分かったら、「初任給・手取り診断」で社会保険料と税金を引いた手取り額の目安も確認できます。
まとめ
求人票と労働条件通知書が違っていても、その場でどちらかが必ず間違いだと決めつける必要はありません。
重要なのは、次の3点です。
- どの項目が違うのか整理する
- 変更理由と自分に適用される条件を確認する
- 最終条件を書面やメールで受け取る
入社後の生活に関わる大切な契約です。分からないまま署名を急がず、納得できる状態で新生活を始めましょう。
※この記事は一般的な制度を分かりやすく整理したもので、個別の労働契約の成立や有効性を判断するものではありません。不安が残る場合は、ハローワーク、都道府県労働局、労働基準監督署、総合労働相談コーナーなどへご相談ください。