固定残業代とは?新卒が求人票と労働条件通知書で確認したい5項目
求人票の給与欄にある「固定残業代を含む」という言葉。
初めて見ると、「残業代が追加でもらえないのでは」「毎月その時間まで残業しないといけないのか」と不安になるかもしれません。
固定残業代があるだけで、直ちに問題のある求人とは判断できません。大切なのは、基本給と固定残業代の内訳、含まれる時間数、超過分の扱いが分かることです。
内定承諾や入社前に確認したいポイントを整理します。
固定残業代とは?
固定残業代とは、一定時間分の時間外労働などに対する割増賃金を、毎月定額で支払う仕組みです。
「みなし残業代」「営業手当」「業務手当」など、別の名称が使われることもあります。名称ではなく、その手当が何に対して支払われるのかを見る必要があります。
たとえば、次のような記載です。
月給25万円
基本給21万円
固定残業代4万円(25時間分)を含む
25時間を超えた分は別途支給
この場合、基本給が25万円という意味ではありません。基本給21万円と、固定残業代4万円を合わせた金額が月給25万円です。
固定残業代があれば、追加の残業代は出ない?
固定残業代に含まれる時間を超えて働いた場合、超過分の割増賃金まで固定残業代だけで済ませることはできません。
ハローワークの求人入力ルールでも、固定残業代を採用する場合は、金額に加えて次の内容を明記するよう求めています。
- 時間外労働の有無にかかわらず固定的に支給されること
- 固定残業時間を超えた分は追加で支給すること
固定残業代があるからといって、「何時間働いても残業代は同じ」という意味にはなりません。
毎月、記載時間まで残業する必要がある?
「固定残業代25時間分」と書かれていても、25時間の残業が義務になるという意味ではありません。
25時間は、固定残業代を計算する際の基準として設定された時間です。
ただし、実際にどの程度の残業が発生しているかは、求人票だけでは分からないことがあります。面接や内定後に、部署の月平均残業時間や繁忙期の状況を確認しましょう。
確認したい5項目
1.固定残業代を除いた基本給
最初に確認したいのは、固定残業代を除いた基本給です。
求人票に「月給25万円(固定残業代を含む)」としか書かれていない場合、基本給と固定残業代の内訳が分かりません。
基本給は、会社によって賞与や各種手当の計算に使われる場合があります。月給の総額だけでなく、内訳を確認しましょう。
確認例:
月給のうち、基本給と固定残業代の内訳を教えていただけますでしょうか。
2.固定残業代の金額
固定残業代として毎月いくら支給されるのかを確認します。
「営業手当」「職務手当」などの名称になっている場合は、その全額が固定残業代なのか、一部だけなのかも確認が必要です。
確認例:
固定残業代に該当する手当の名称と金額を教えてください。
3.何時間分が含まれているか
固定残業代の金額だけでなく、何時間分に相当するのかを確認します。
同じ4万円でも、給与額や勤務条件によって相当する時間数は異なります。
「固定残業代4万円」とだけ書かれていて、時間数が見当たらない場合は、労働条件通知書や雇用契約書も確認しましょう。
確認例:
固定残業代は、月何時間分として計算されていますか。
4.超過分が追加で支給されるか
固定残業時間を超えた場合の扱いを確認します。
「超過分は別途支給」「超過分は法定どおり追加支給」などの記載があるかを探してください。
時間外労働だけでなく、休日労働や深夜労働が発生する仕事では、それぞれの割増賃金の扱いも確認しておくと安心です。
確認例:
固定残業時間を超えた場合と、休日・深夜勤務が発生した場合の割増賃金の扱いを教えてください。
5.実際の平均残業時間
書類の内容が明確でも、実際の働き方は別に確認する必要があります。
次のような聞き方なら、残業の有無だけでなく、時期による違いも把握しやすくなります。
配属予定部署の月平均残業時間と、繁忙期のおおよその残業時間を教えていただけますでしょうか。
固定残業時間が30時間だからといって、実際の残業が毎月30時間とは限りません。反対に、固定残業時間より実際の残業が多い可能性もあります。
求人票と労働条件通知書の金額が違ったら?
求人票は募集時に示される条件です。実際に自分へ適用される条件は、労働条件通知書や雇用契約書でも確認します。
求人票と違う金額や条件が書かれていた場合は、すぐに判断せず、変更理由と自分に適用される条件を確認しましょう。
確認例:
求人票では月給25万円と拝見しましたが、労働条件通知書の内訳との関係を確認させてください。私に適用される基本給、手当、固定残業代の金額を教えていただけますでしょうか。
口頭の説明だけでなく、可能であればメールや書面で回答を残してもらうと、あとから確認しやすくなります。
固定残業代がある求人は避けるべき?
固定残業代の有無だけで、求人の良し悪しは判断できません。
確認したいのは、次のような状態になっていないかです。
- 基本給と固定残業代の区別が分からない
- 固定残業代の金額が分からない
- 何時間分なのか分からない
- 超過分の扱いが書かれていない
- 質問しても具体的な説明を得られない
内訳や実際の残業時間が明確で、自分が納得できる働き方なら、固定残業代があることだけを理由に候補から外す必要はありません。
書類を見ながら確認できます
労働条件通知書や雇用契約書が手元にある場合は、「労働条件通知書チェック」で基本給、固定残業代、勤務時間、休日などを順番に確認できます。
書類のアップロードは不要です。回答内容も保存・送信されません。
分からなかった項目だけを整理し、会社へ送る確認文も作成できます。
月給の内訳が分かったら、「初任給・手取り診断」で社会保険料と税金を引いた手取り額の目安も確認できます。
まとめ
固定残業代がある求人を見るときは、月給の総額だけで判断しないことが大切です。
最低限、次の5項目を確認しましょう。
- 固定残業代を除いた基本給
- 固定残業代の金額
- 含まれる時間数
- 超過分の追加支給
- 実際の平均残業時間
分からない点を質問することは、失礼ではありません。入社後の認識違いを防ぐために、納得できるまで書面で確認しましょう。
※この記事は一般的な制度を分かりやすく整理したもので、個別の労働契約が適法かどうかを判断するものではありません。不安が残る場合は、都道府県労働局、労働基準監督署、総合労働相談コーナーなどへご相談ください。