賃貸の仲介手数料1か月分は必ず払う?契約前に知りたい上限と確認方法
賃貸の見積書に書かれた「仲介手数料77,000円」。
家賃が7万円なら、家賃1か月分に消費税を加えた金額です。不動産会社から提示されることが多い金額ですが、法律で「借主が必ず1か月分を払う」と決められているわけではありません。
一方で、「仲介手数料は必ず0.5か月分にできる」という説明も正確ではありません。
大切なのは、インターネット上の断片的な情報だけで違法・適法を決めるのではなく、上限の仕組みと自分が承諾した内容を確認することです。
仲介手数料は何に対して支払うお金?
仲介手数料は、物件を紹介し、貸主と借主の間に入って契約成立を支援した不動産会社へ支払う報酬です。
一般的には、次のような業務が含まれます。
- 希望条件に合う物件の紹介
- 内見の手配や案内
- 貸主や管理会社との連絡
- 入居条件の確認や調整
- 契約手続きの支援
仲介手数料は、単に部屋の鍵を受け取るための料金ではありません。不動産会社による仲介で契約が成立した場合に支払う報酬です。
結論:1か月分は「決められた料金」ではなく上限の範囲
国土交通省によると、賃貸借取引で不動産会社が貸主と借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計額は、原則として次の範囲です。
家賃1か月分の1.1倍以内(税込)
居住用の建物では、貸主または借主の一方から受け取れる金額は、原則として次の範囲です。
家賃1か月分の0.55倍以内(税込)
ただし、仲介を依頼する際に一方の承諾を得ている場合は、その一方から0.55か月分を超えて受け取れる場合があります。双方から受け取る合計額の上限も満たす必要があります。
つまり、「1.1か月分まで受け取れる場合がある」というルールであり、すべての契約で借主が1.1か月分を負担すると定めたものではありません。
家賃7万円なら、いくらになる?
家賃7万円の部屋で考えてみます。
計算方法 | 金額(税込) |
|---|---|
家賃0.5か月分+消費税 | 38,500円 |
家賃1か月分+消費税 | 77,000円 |
差額は38,500円です。
ただし、見積書に77,000円と書かれているだけで、直ちに不適切な請求とは判断できません。借主が負担する金額について、仲介を依頼する際にどのような説明と承諾があったかを確認する必要があります。
「承諾した覚えがない」と感じたら確認する場所
仲介手数料についての承諾が、独立した同意書として渡されるとは限りません。
次の書類や画面に記載されている場合があります。
- 入居申込書
- 媒介に関する申込書
- 仲介手数料承諾書
- 電子申込画面
- 契約前に受け取った見積書
- メールやメッセージでの案内
署名やチェックをした書類があれば、仲介手数料の金額や負担条件が記載されていないか確認します。
自分の記憶だけで判断せず、「どの書面で、いつ承諾したことになっていますか」と聞くと、話を整理しやすくなります。
不動産会社には、どう聞けばいい?
最初から「違法ですよね」「半額にしてください」と伝えると、必要な説明を受けにくくなることがあります。
まずは、事実を確認する質問をします。
見積書の仲介手数料について確認したいです。
借主負担が家賃1か月分と消費税になる条件と、承諾に関する書面を教えていただけますか。
金額の相談もしたい場合は、続けて次のように伝えます。
初期費用全体を見直しています。仲介手数料の負担額について相談できる余地はありますか。
交渉に応じるかどうかは、不動産会社や物件の条件によって異なります。減額が法律上必ず認められるわけではありません。
「仲介手数料無料」の物件は、なぜ無料にできる?
借主の仲介手数料が無料または割引になっている物件もあります。
考えられる理由には、次のようなものがあります。
- 貸主側が仲介手数料を負担している
- 不動産会社が別の形で報酬を受け取っている
- 空室を早く埋めるための募集条件になっている
- 不動産会社が自社の方針として割引している
無料だから危険、1か月分だから悪質、という単純な判断はできません。
仲介手数料が安くても、礼金、保証料、サポート費用などが高ければ、契約時の総額は高くなることがあります。
仲介手数料だけで物件を決めない
仲介手数料を38,500円減らせても、別の費用が増えれば節約にはなりません。
比較するときは、少なくとも次の金額を合計します。
- 敷金・礼金
- 前家賃・日割り家賃
- 仲介手数料
- 保証会社の費用
- 火災保険料
- 鍵交換費用
- 追加サービス
- 更新時にかかる費用
- 退去時に必ず発生する費用
暮らし診断では、仲介手数料だけを切り取るのではなく、契約時・入居後・退去時の負担をまとめて確認することをおすすめします。
よくある疑問
仲介手数料1か月分は違法ですか?
1か月分という金額だけで違法とは判断できません。上限の範囲、貸主と借主の負担、借主の承諾などを確認する必要があります。
必ず0.5か月分に変更してもらえますか?
必ず変更できるわけではありません。原則の上限と承諾がある場合の扱いを確認したうえで、契約前に相談します。
契約後でも返金を求められますか?
個別の契約内容や承諾の状況によって判断が異なります。まず、不動産会社に請求根拠と承諾書面を確認してください。解決しない場合は、地域の消費生活相談窓口や不動産会社の免許を所管する行政機関、法律の専門家などへの相談を検討します。
仲介手数料を相談すると、入居を断られますか?
相談しただけで必ず断られるとは限りませんが、不動産会社に減額へ応じる義務があるわけでもありません。申込みの前に総額を確認し、その条件で契約するかを判断するのが安全です。
契約前に確認する3点
仲介手数料について迷ったら、次の3点を確認してください。
- 見積書の金額は家賃の何か月分か
- 借主がその金額を負担する条件はどこに記載されているか
- 初期費用全体で見たとき、本当に負担が大きいか
「ネットで半額と見たから」という理由だけで交渉するより、書面と金額を確認して質問するほうが、相手にも意図が伝わります。
見積書全体を整理したい場合は、個人情報を入力せずに使える「賃貸初期費用チェック」を利用できます。
※本記事は一般的な制度と確認方法を紹介するもので、個別の契約に対する法律判断ではありません。物件や契約によって条件は異なります。